科学的に正しい睡眠の調整方法

こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。
「最近眠りが浅い」「夜中に目が覚めてしまう」「朝スッキリ起きられない」——こういったお悩みを持たれている人は、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
睡眠は心と体の健康を支える土台であり、質の良い眠りを確保することは、病気予防にもつながる、とても大切な生活習慣です。とはいうものの、睡眠に関しての情報は多く出回っているので、情報をしっかり把握するのは、意外と難しいですよね。
そこで今回のブログでは、睡眠に関しての豆知識、科学的に正しい睡眠の調整方法について、少し書いてみたいと思います。
睡眠を決める3つの科学的システムとは?
睡眠は「なんとなく眠くなる」わけではありません。体には眠りをコントロールする大切な3つの仕組みがあると言われています。
ここを押さえると、睡眠改善の道筋が自然と見えてくるかもしれません。
① 体内時計(サーカディアンリズム)
人間には「24時間のリズム」が脳に組み込まれています。特に朝の“光”がとても重要で、光を浴びると脳の時計がリセットされ、約14〜16時間後に自然な眠気が来るようにセットされます。
つまり、「朝」の過ごし方が「夜」の睡眠を決めるんです。
ポイント
起床後1時間以内に太陽の光を浴びる
室内でも窓際で十分効果あり
夜は強い光(特にスマホのブルーライト)を避ける
これは厚生労働省の「睡眠指針」でも推奨されている方法で、科学的な裏付けがあるんです。
② 睡眠圧(ホームオスタシス)
「起きている時間が長いほど眠くなる」——これが睡眠圧というものです。つまり、日中にしっかり活動することで睡眠欲求が高まり、夜に深い睡眠が得られるようになるということになります。
■睡眠圧を高めるコツ
軽い運動でもOK(散歩・速歩など)
昼寝は長くても20〜30分まで
ダラダラ横にならず、日中は体を起こしておく
③ 自律神経(交感神経と副交感神経)
夜に眠るためには“リラックス神経”である副交感神経が働くことが大事なんですが、現代の生活ではストレス過多でうまく切り替わらない方が多いんです。
そこで、以下のような工夫をして、副交感神経を寝る前に高める工夫をしてもらうといいかと思います。
■副交感神経を高める具体策
ぬるめの入浴(40℃前後)
深呼吸、ストレッチ
スマホを寝る前30分は使わない
寝室の照明を暖色にする
科学的に正しい「実践型」睡眠調整法
ここからは、“今日からできる睡眠改善術”を、医学的エビデンスとともにまとめています。
① 朝の光をしっかり浴びる
朝に光を浴びると、脳内で「セロトニン」が分泌されます。セロトニンは夜になると睡眠ホルモン「メラトニン」に変わるため、朝の光=夜の眠りの準備なんです。
外に出られない方でも、カーテンを開けて窓際で過ごすだけで十分効果があります。

② 就寝2〜3時間前の入浴がベスト
医学的には、入浴で体温が一度上がり、その後に下がるタイミングで眠気が来るとされています。
40℃前後のぬるめのお湯に15分程度が目安です。熱すぎるお湯は覚醒してしまうため注意が必要なんです。
③ カフェインは「午後2時以降は控える」
カフェインの効果が半減するまでには5〜7時間かかります。夕方以降のコーヒーや紅茶、緑茶は眠りを浅くする原因になります。
なので、寝る前にはノンカフェインのハーブティーがおすすめです。
④ 寝る前のスマホ・タブレットは極力触らない
ブルーライトが体内時計を後ろにずらし、寝つきを悪くします。
どうしても使う場合は「ブルーライトカット」機能を使うか、画面を暗めに設定しましょう。

⑤ 寝室の環境を“睡眠モード”にする
睡眠の質は部屋づくりでも大きく変わります。
部屋は暗く
室温は18〜26℃
湿度は40〜60%
寝具を自分に合った硬さにする
寝室は「寝るだけの空間」にすると、脳が“ここは眠る場所なんだ”と認識して寝つきが良くなります。
⑥ 運動は夕方〜夜が最適
軽い運動は睡眠の質を高めることがわかっています。特に速歩や軽いジョギングは深い睡眠を増やします。
ただし、寝る直前の激しい運動は逆効果です。

⑦ 昼寝は短く。長くても30分
昼寝が長いと夜の睡眠圧が下がり、寝つきが悪くなります。
短い昼寝(パワーナップ)は集中力アップにも効果的です。
睡眠障害が疑われるサインとは?
次のような症状がある場合、単なる生活習慣の問題ではなく、医学的に評価が必要な場合があります。
いびきが大きい(睡眠時無呼吸の可能性があります)
夜間に何度も目が覚める
朝の頭痛
日中の強い眠気
寝つきが極端に悪い
寝ているはずなのに疲れが取れない
当院では、睡眠時無呼吸症候群の検査や治療にも積極的に対応しています。お気軽にご相談いただければと思います。
当院からのメッセージ
睡眠は「質のいい生活」を支える、とても大事な生活習慣の一つです。
「眠れないのは私だけ…?」そう感じている方は少なくありませんが、原因を一緒に整理していくことで、質の良い睡眠を取り戻すことができるかもしれません。
眠りの質を整えることは、心の元気にもつながります。
気になる症状がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
記事監修:元八事ファミリー内科クリニック 院長 浅野貴光(呼吸器専門医、医学博士)
院長のプロフィールはこちらから
