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脂肪肝の真実~脂肪の摂りすぎが原因ではありません~

一般内科

 

 

こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。
この時期になると、健康診断の結果を手に、受診される方が少しずつ増えてきます。

健診結果で、よく指摘される項目の一つが「肝機能異常」です。
また、超音波検査を受けて「脂肪肝を指摘されました」と相談に来られる方も、決して少なくありません。

脂肪肝については、少し誤解されていることが多い印象があります。
「脂肪肝=脂っこいものの食べすぎ、お酒の飲みすぎ」というイメージ。
実際、外来でもよく耳にする言葉です。

ただ、医学的に見た脂肪肝の正体は、そのイメージとは少し違います。
必ずしも脂肪の摂りすぎだけで起こるものではありません。

そこで今回のブログでは、脂肪肝が単なる「脂肪のとりすぎ」で起こる病態ではないこと、そして今わかってきている本当の背景について、分かりやすく書いてみたいと思います。

脂肪肝の新しい分類「MASLD」とは

2024年に病名が変わった理由


2024年8月、日本肝臓学会と日本消化器病学会により、脂肪肝の病名が大きく見直されました。
これまで使われていた「NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)」という名称は、現在「MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)」へと変更されています。

MASLDとは、「体の代謝(エネルギーの使い方)がうまくいかなくなった結果、肝臓に脂肪がたまる状態」という意味です。
アルコールを飲まない人の脂肪肝、という消極的な定義ではなく、

  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 内臓脂肪型肥満

こうした代謝の乱れと深く関係する病気であることが、はっきり示されました。

脂肪肝の本当の原因は「糖質の摂りすぎ」

脂肪よりも、実は「甘いもの」

脂肪肝と聞くと、まず脂身や揚げ物を思い浮かべる方が多いですよね。
ですが、脂肪肝の最大の原因は脂質ではなく、糖質の過剰摂取です。

とくに注意が必要なのが「果糖(かとう)」。
果糖は肝臓で直接、脂肪に変換される性質があります。

清涼飲料水、ジュース、甘いカフェラテ、エナジードリンク。
これらは肝臓にとって、かなり負担の大きい存在なんです。

500mlのコーラには約55gの糖質が含まれています。
これは、白ごはん茶碗1杯分とほぼ同じ量。
「食事は控えているのに脂肪肝が改善しない」という方ほど、飲み物や間食に原因が隠れていることが少なくありません。

研究でも示されている事実

名古屋大学の研究では、砂糖の過剰摂取によって腸内細菌のバランスが崩れ、脂肪肝や中性脂肪の上昇につながることが報告されています。

体重60kgの方で、1日の糖質摂取量が240gを超えると、肝臓で脂肪が作られやすくなる。
こうした具体的なデータも示されているんです。

Song Q et al. High-sucrose diet induces abnormalities in lipid metabolism through gut microbiome dysbiosis linked to five metronidazole-suppressed bacteria. Food Bioscience. 2024

腸内細菌と肝臓の深い関係~腸肝軸~

腸が乱れると、肝臓も疲れます

最近よく耳にする「腸活」。
実は脂肪肝とも、深く関係しています。

腸と肝臓は「門脈(もんみゃく)」という血管で直結しており、この関係を「腸肝軸(ちょうかんじく)」と呼びます。

糖質を摂りすぎると、腸内の悪玉菌が増え、炎症を引き起こす物質が肝臓へ流れ込みやすくなります。
これが脂肪肝の進行を後押ししてしまうんです。

一方で、食物繊維をしっかり摂ることで腸内環境が整い、肝臓への負担が軽減されることも分かってきました。

脂肪肝を指摘されたら意識したい生活ポイント

完璧を目指さなくて大丈夫です

脂肪肝と聞くと、「全部変えなきゃ」と身構えてしまう方が多いのですが、必要ありません。
大切なのは、続けられること。

  • 主食は今の2/3量を目安に
  • 甘い飲み物は毎日から「たまに」へ
  • 早歩きで1日20分程度
  • 野菜・きのこ・海藻を意識して増やす
  • 体重は3~5%減をゆっくり目標に

このくらいの変化でも、肝臓はきちんと応えてくれます。
急激な減量は逆効果になることもあるため、焦らないことが大切です。

 

脂肪肝は「早めに向き合う」ほど改善しやすい

脂肪肝は、ほとんど自覚症状がありません。
そのため、「今は困っていないから」と、つい後回しにされがちです。
一方で、早い段階で気づき、無理のない範囲で生活を見直した方ほど、検査の数値がきれいに改善していくケースも決して珍しくありません。

名古屋市天白区の元八事ファミリー内科クリニックでは、脂肪肝をはじめ、脂質異常症、高血圧、糖尿病といった生活習慣病に対しても、日常診療の中で積極的に対応しています。
健康診断で異常を指摘された方、「今すぐ治療が必要なのか分からない」という段階でも構いません。どうぞ気軽にご相談ください。

 

記事監修:元八事ファミリー内科クリニック 院長 浅野貴光(呼吸器専門医、医学博士)

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