花粉症に市販点鼻薬の多くに注意が必要な理由
花粉症に市販点鼻薬の多くがダメな理由
こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。
3月になり、スギ花粉による鼻水、くしゃみ、鼻詰まりなどで悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
この時期になると、こんな声をよく耳にします。
「花粉症がつらくて、市販の点鼻薬を毎日使っています」
「シュッとするとすぐ鼻が通るから、もう手放せません」
その気持ち、よくわかります。鼻が詰まると息がしづらい。眠りも浅くなる。仕事や家事に集中できない。 だからこそ「すぐ効くもの」に頼りたくなるんですよね。
ただ、ここに大きな落とし穴があります。 花粉症に対して、市販点鼻薬の多くは一時的に楽になるだけで、使い続けるほど鼻の状態を悪くしてしまうことがあるんです。 この事実、意外と知られていません。
そこで今回のブログでは、なぜ市販点鼻薬が問題になりやすいのか、そして鼻のために本当に大切な考え方についてお話していきたいと思います。
「すぐ効く点鼻薬」の正体は血管収縮薬
市販の点鼻薬を使った瞬間、鼻がスーッと通る。 この即効性の正体は「血管収縮薬」です。
血管収縮薬とは、鼻の粘膜の血管をギュッと縮める成分。 腫れていた粘膜が一時的に引き締まり、空気の通り道が広がります。
これらがすべて悪いわけではありません。 問題になるのは、「長く使い続けてしまうこと」なんです。
問題は“気持ちよく効きすぎる”こと
血管収縮薬は、確かに効きます。 ただし、それは治しているわけではありません。
使い続けると、
・薬が切れると前より強く詰まる

・また使う
・効く時間が短くなる
・使用回数が増える
この悪循環の先に起こるのが、点鼻薬性鼻炎(薬剤性鼻炎)というものなんです。

点鼻薬性鼻炎とは何が起きている状態か
点鼻薬性鼻炎は、鼻が弱くなった状態ではありません。 薬の影響で、鼻の血管が自分で調整できなくなってしまった状態です。
本来、鼻の粘膜は自然に腫れたり引いたりします。 ところが血管収縮薬を繰り返し使うことで、「薬がないと戻れない鼻」になってしまう。
「夜中に何度も点鼻しないと眠れない」 「もう何か月も毎日使っている」
こうした状態は、決して珍しくありません。
花粉症の正体は“鼻の炎症”
ここで、花粉症の本質に立ち返ってみましょう。
花粉症は、アレルギー反応によって鼻の粘膜に炎症が起きている状態です。 花粉が入る → 体が過剰に反応する → 粘膜が腫れる、鼻水が出る、かゆくなる。

血管収縮薬は、この流れを止めていません。 腫れた結果だけを一時的に抑えているだけなんです。
点鼻ステロイド薬が治療の中心になる理由
「ステロイド」と聞くと、不安になる方も多いと思います。 でも、ここには大きな誤解があります。
飲み薬や注射のステロイドとは別物
飲み薬や注射のステロイドは、体全体に作用します。 そのため副作用への配慮が必要になります。
一方、点鼻ステロイド薬は、鼻の粘膜に直接作用し、体への吸収はごくわずか。 炎症をピンポイントで抑える設計になっています。
国内外のガイドラインでも、花粉症治療の基本は点鼻ステロイド。 長年の研究で、安全性と有効性が確認されているんです。
市販で買える血管収縮薬なしの点鼻薬
市販薬の中にも、血管収縮薬が入っていない選択肢があります。
・ナザールAR
・フルナーゼ点鼻
これらは点鼻ステロイド薬なので、血管収縮薬は入っていません。
即効性はありません
使ってすぐに鼻が通る感覚はありません。 効果が出るまで1~2日かかります。
でも、それでいいんです。 炎症を落ち着かせる薬は、必ずしも速攻性はありませんので、その点ご理解いただけるといいと思います。
最後に
名古屋市天白区の元八事ファミリー内科クリニックでは、アレルギー専門医の立場から、花粉症診療に対しても積極的に行っています。
花粉症治療薬は複数存在します。その人その人の症状や生活習慣によって、薬を選択していくように心がけています。
花粉症でお困りの方は、ぜひ一度元八事ファミリー内科クリニックにまで、ご相談いただければと思います。
記事監修:元八事ファミリー内科クリニック 院長 浅野貴光(呼吸器専門医、医学博士)
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